仕事で役職が上がる(昇進)ことは嬉しいことです。ただ「嬉しい反面、不安な気持ちになる」、そんな経験したことありませんか?
「嬉しい気持ち」と「不安な気持ち」、あなたはどちらの気持ちが勝っていますか?
本記事では、IT業界で約20年間仕事をしている現役エンジニアが「不安」について、これまでの経験から感じたことを記事にしています。
目次
管理職への昇進は不安がいっぱい
IT業界でエンジニアの仕事をしていると、一般職のときは「プログラミング」がメインで、役職や年齢が上がるにつれて徐々に「設計」や「要件定義」などの仕事に携わるようになっていきます。
- 一般職:プログラミングがメイン作業
- 主任:プログラミングや設計がメイン作業。プロジェクトリーダーやサブリーダーの立ち位置で案件を担当することが増えてくる。
- 係長:要件定義や設計がメイン作業。プロジェクトリーダーの立ち位置で案件を担当することが増えてくる。
- 課長:人や案件を管理するのがメイン作業。プロジェクトマネージャーの立ち位置で案件を担当することが増えてくる。
- 部長:部の予算管理や人の管理がメイン作業。
係長までは現場での作業が多いのですが、管理職になると現場を離れ予算管理や人の管理をするのが一般的です。
ただ中小企業の場合、課長職でも現場で設計やプログラミングを行うことがあり、予算管理などの仕事は部長になってから行う会社も珍しくありません。
いままで現場で働いていた社員が管理職になると、現場を離れ「予算管理」や「人の管理」、「部の方針決め」など、いままでとは違う仕事を行うため、不安な気持ちになる人は多いと思います。
人は見えないもの・よくわからないことに不安を感じる生き物です。
いままでの仕事内容とは、まったく違うことをするのです。不安を感じるのは当たり前のことです。
僕の場合「主任」「係長」「課長」に昇進したときは、不安な気持ちより嬉しい気持ちが勝っていましたが、「部長」に昇進したときは、不安な気持ちが勝っていました。
その理由は「部長」という仕事に対して、何をすればよいかイメージが湧かなかったからです。そして、人見知りの自分が部長職をこなせるか自信がなかったからです。
昇進の話を聞いたあとは、憂鬱な日々が続きました。
「昇進の話、断ればよかったのかな?」と時々思うことがあります。
ただやれるかどうかは、やってみないとわかりません。
なぜ昇進に不安を感じるのか?
昇進に不安を感じる理由には次のようなことが挙げられます。
他にもいろいろな理由があると思います。
「昇進後の仕事がイメージできない・何をすればよいのかわからない」という不安は、昇進後の仕事がいままでと違うから不安になるのです。昇進後の仕事がいままでと同じであれば不安になることはありません。
「人間関係がうまく構築できるか不安」という問題も、昇進前と昇進後の人間関係がまったく同じであれば不安になることはありません。昇進後に新しい人間と関係性を保つ必要がある不安になるのです。
「リーダーシップが上手くとれるか不安」「管理職・リーダーに向いていないと思っている」というのも同じです。昇進後に仕事の役割が変わるから不安になるのです。
このことから分かるように、人は見えないもの・よくわからないことに不安を感じるのです。昇進することでいままでと違う環境になる、その結果どうなるかわからない未来に不安を感じているのです。
また「自信がない」という人は、昇進後の仕事に苦手意識を持っているのではないでしょうか。
ただ上司はあなたなら出来ると考え推薦したのです。
自分のことは案外わかっていないものです。苦手意識を持っていることでも、周りから見たらできているのかもしれません。
昇進の不安を取り除く方法
不安の正体を「見える化」して行動する
人は「見えないもの」「よくわからないもの」に不安を感じる習性があります。
未来は見えないものであり、どうなるかわかりません。「昇進後の仕事が不安」「昇進後の人間関係が不安」「昇進後、自分がうまくできるか自信がない」「昇進後は責任感のある立場になるので周りの目が気になる」など、未来に対する不安はたくさんあります。
しかし、そうした現状をぼやいても仕方がありません。いくら考えていても未来の出来事であり、不安がなくなることはありません。
ただ私たちは未来がある程度予見できます。ぼんやりとした不安を軽減するためには、自分の将来を予測してぼんやりとした部分を「見える化」しましょう。
「見えないもの・よくわからないこと」を「見える化」して「自分が見てわかる状況にしておくこと」で、何をすればよいか明確になり不安が軽減します。
まずは昇進後にやるべきことを「見える化」しましょう。
何をすればよいか明確になれば、あとは「行動」するだけです。「見える化」しても「行動」しなければ意味がありません。
昇進前で「見える化」が難しい場合は、気持ちを切り替えましょう。
未来の出来事はいくら考えてもどうなるかわかりません。どうなるかわからない未来の出来事をいくら考えていても時間の無駄です。
完璧主義の考えは不安につながる
インターネットで「理想の上司」を調べると
- 尊敬できる
- 部下の話を聞いてくれる
- 視野が広い
- 言葉に矛盾がない
- リーダーシップがある
- 定期的にコミュニケーションを取ってくれる
- 困っているとき、適切にサポートしてくれる
など、人として素晴らしい人物像が紹介されています。
ただ、理想の上司といわれている人物像にすべてがマッチしている人はそういません。僕も上司の立場ですが、理想の上司には程遠いです。
○○の役職についたら、○○は当たり前という感覚を持っていると、いざ自分がその役職になったとき不安になってしまいます。
理想の上司を目指すことは良いことですが、完璧主義な考えは時に自分を苦しめる結果につながります。
「○○であるべき」という考えが不安につながっているのであれば、少しだけ物事を楽観的に考えてみてはいかがでしょうか。
コミュニケーションを取ることで不安は軽減する
人の悩みのほとんどは人間関係の悩みといわれています。
そのため、人間関係がうまく構築できれば、不安は軽減できます。
例えば、部長職の仕事が不安なのであれば、お客様とコミュニケーションを取る、部下とコミュニケーションを取る、他部署の部長とコミュニケーションを取るなど、仕事でかかわる人とコミュニケーションを取ることで、何か困ったときにいろいろな人が助けてくれます。
人は1人では生きていません。人とかかわらなくなると「孤独」を感じる生き物です。
一般職は基本、自分の仕事をするだけですが、管理職になると人を動かす必要があります。どうしても人とかかわる仕事です。
積極的にコミュニケーションを取り、よい人間関係が構築できれば、不安な気持ちを相談することも可能です。そして不安を手助けしてくれる人が現れることもあります。
友達が困っていたら助けるのは当たり前のことですが、他人が困っている場合は助けてくれるとは限りません。
仕事も同じです。友好な関係性を築くことができれば、人は助けてくれるのです。
新しい役職なり不安を感じているのであれば、まずは勇気をもってコミュニケーションを取ることから始めてみてはいかがでしょうか。