IT業界で約20年間、いろいろな案件、いろいろな現場、いろいろな人と関わってきました。
30歳を過ぎた頃から、プロジェクトリーダーをする機会が増え、プロジェクト管理や部下管理と思い通りに仕事が進まず頭を抱えることが多くなってきました。自分の仕事だけをやっていた20代の頃がどれだけ楽だったのか、部下管理がこれほど難しいものだとは思っていませんでした。
本記事では、IT業界で約20年間エンジニアとして働いている僕が感じた部下管理の難しさについて記事にしています。
筆者のプロフィール
- 年齢:40代
- 所属会社:大手企業3年、中小企業20年弱 在籍、現在は中小企業の部長
- 習得言語:Java, JavaScript, C#, HTML, CSS, PHP, Rubyなど
- 保有資格:ITパスポート, 応用情報技術者, LPICレベル1
理想の上司とは
インターネットで「理想の上司」を調べると
- 尊敬できる
- 部下の話を聞いてくれる
- 視野が広い
- 言葉に矛盾がない
- リーダーシップがある
- 定期的にコミュニケーションを取ってくれる
- 困っているとき、適切にサポートしてくれる
など、人として素晴らしい人物像が紹介されています。
ただ、理想の上司と言われている人物像にすべてがマッチしている人はそういません。
僕も上司の立場ですが、理想の上司とは程遠いと感じています。
本来は理想な人物像になれることが一番ですが、そんな完璧な上司はなかなかいません。
そのため、次のようなタイプ(得意分野)に分かれることが多いです。
- コミュニケーション能力が高いタイプ
- 技術力が高いタイプ
- 部下に仕事を任せられないタイプ
コミュニケーション能力が高いタイプ
コミュニケーションとは「対人間での情報共有や意思の疎通」のことであり、コミュニケーション能力は、それらをスムーズに行うことができる力のことです。
仕事をしていると多いのが対人関係の悩みです。特に上司との対人関係がうまくいかないと苦労します。
IT業界では、このコミュニケーション能力が高いタイプの上司を見かけることがよくあります。ただこのタイプ、技術力はそこまで高くない傾向にあります。技術力ではなくコミュニケーション能力が評価され、出世したタイプです。
そのため、技術的な仕事は部下に丸投げし管理だけをやる、そんな上司現場にいませんか?
このタイプの上司は技術的な仕事を丸投げしてくるので仕事は大変ですが、コミュニケーション能力が高いため、部下の話を聞いてくれます。結果、仕事が楽しくできる、また仕事も丸投げされるため成長できるメリットがあります。
技術力が高いタイプ
IT業界のリーダーでよく見られるのがこの「技術力が高いタイプ」です。
もともと技術者だった人が評価されリーダーになったパターンです。
このタイプのリーダーは技術力があるので、プロジェクト管理だけではなく、ソースコードレビューなど部下が作ったコードを確認できます。そのため、部下に技術的な指導を行うことができるのがこのタイプの特徴です。
技術的な指導や、技術的な確認ができるので、プロジェクト全体の品質がよくなる傾向にあります。
技術力が高く部下の作ったコードが読めるので「ここはこう作った方が効率いい」「この書き方は好みじゃない」など、自分の好みを部下に押しつけがちになってしまうこともあります。
コーディング規約に書かれていることであれば、ソースコードレビューで指摘すればよいのですが、どちらでもよい好みの問題まで指摘してしまうと、部下からすると「どっちでもよくない?」「この人細かい」と思われてしまう場合があるので注意が必要です。(どうしても気になる場合は、プロジェクトとしてルール化することをおすすめします。)
部下に仕事を任せられないタイプ
一番ダメな上司像がこの「部下に仕事を任せられないタイプ」です。
このタイプは仕事ができる人で、かなり優秀な人です。そのため、部下に仕事をお願いするより自分で作業した方が早く終わると考え、部下に仕事を任せず、自分でこなしてしまいます。
その結果、いつも忙しそうにしています。
仕事が忙しいと心に余裕がありません。
部下のちょっとしたことに気づくことはできません。
部下に難しい仕事を任せられないので、部下は成長しません。
ずっと上司は忙しく、部下は成長しない。そんな悪循環を作ってしまうのがこのタイプの特徴です。
部下が思い通りに動かないのは当たり前のことである
部下管理をしていると痛感することがあります。それは「部下が思い通りに動いてくれない」ということです。
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーの立場で部下管理をしている人であれば、感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
仕事が多忙なときスケジュール通りに作業をこなしてくれない部下、自分の担当作業なのに残業もせず平気で「終わりません」と報告してくる部下、そんなことにストレスを感じ、頭の中は仕事のことばかり考え、夢の中でも仕事をし、徐々に睡眠不足になり、体調を崩していく、なんて経験したことないですか?僕は経験しました。
ただ、そのとき痛感したことは「人は思い通りに動かない、それは当たり前のこと」だという事実です。
「思い通りに人は動いてくれる」そう考えていた自分が間違っていたことに気がつきました。正確には「人を思い通りに動かそう」なんて考えていませんでしたが、「思い通りに動いてくれない部下」にストレスを感じていました。
「自分だったらこうするのに、なぜ」と考えるのは無駄なことです。なぜなら作業しているのは自分ではないからです。そして、この悩みでストレスをためるのは無駄なことです。
なぜなら部下が思い通りに動かないのは当たり前のことだからです。
毎日歯を磨くのことにストレスは感じません、顔を洗うことにもストレスを感じません。なぜなら当たり前のことだからです。
「人が自分の思い通りに動かない」それは当たり前のことなのです。当たり前のことにストレスを感じるのは無駄なことです。またストレスを感じるということは、当たり前のことだと思っていないから「なぜ?」という気持ちになりストレスを感じるのです。
部下管理とは、部下を思い通りに動かすものではありません。部下の業務をサポートしつつ、適切な指導を行い、業務の手順を教えたり技術や知識を伝えたりすることです。あくまでもサポートするのが上司の役割です。
「部下が思い通りに動いてくれない」と嘆くのではなく、「こう動くのか、じゃあ次はこうしてみよう」と次の行動に移していくことが重要です。
部下とコミュニケーションを取り、部下が何を考えているのか、どうしてほしいのか、どうしたいのかを知ることが大切です。部下とコミュニケーションを取ることで、問題は自然に解決することもあります。なぜなら同じ指示でも、尊敬できる上司からの依頼なら、頑張ろうと考える人もいるからです。
また、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーという仕事はストレスを抱えることが多い仕事です。そのため「なんとかなる」と楽観的な気持ちで仕事することも大切です。