IT業界には国家資格の「情報処理技術者試験」や「ベンダー資格」などさまざまな資格があります。ただ資格を取得していなくても仕事はできます。
本記事では、資格取得の必要性についてIT業界で約20年間エンジニアとして働いている僕が感じたことを記事にしています。
筆者のプロフィール
- 年齢:40代
- 所属会社:大手企業3年、中小企業20年弱 在籍、現在は中小企業の部長
- 習得言語:Java, JavaScript, C#, HTML, CSS, PHP, Rubyなど
- 保有資格:ITパスポート, 応用情報技術者, LPICレベル1
目次
【IT業界】なぜ資格が必要なのか
資格がなくても仕事はできます。資格を取得していなくても優秀な人材はたくさんいます。
そのため資格を取得しても・しなくても、どちらでもよいと考えられます。ただ本質は資格を取ることではなく、自分の市場価値(職務経歴を充実させる)を上げることなのではないかと僕は思っています。
資格がなくても自分の市場価値が高いのであればよいですが、自分の市場価値が低いのであれば、資格を取得して市場価値(職務経歴を充実させる)を上げるべきです。
なぜなら「企業に依存する働き方」は終わりを迎え「個人の力で勝負する」そんな時代になってくるからです。
資格取得が必要な理由1:企業に依存しない働き方が必要になってくる
これまでの日本は「終身雇用制度」と「年功序列制度」により、企業に入っていれば定年まで雇用が保証され、企業への在籍年数に比例して給料が増える、そんな時代でした。
しかし「終身雇用制度」と「年功序列制度」の時代は終わろうとしています。
2019年10月13日の日本自動車工業会の会長会見で、トヨタ自動車の豊田社長が次のような発言をしています。
「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」
また日本経済団連の中西経団連会長も次のように発言しています。
「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが大事だ」
この言葉からわかるように、企業に入っていれば定年まで雇用が保証され、企業への在籍年数に比例して給料が増える、そんな時代は終わりを迎えようとしています。
そして、この時代の変化に伴い、企業だけではなく個人にも変化が求められます。
企業に依存せず、個人で稼ぐ力をつける
これが大切になってくるのではないでしょうか。
IT業界に在籍しているのであれば、どこの現場でも重宝される技術、高いマネジメント力などを保有していれば、企業に依存しないで働くことができるはずです。
資格取得が必要な理由2:自分の市場価値を上げることができる
転職経験者であれば「市場価値」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
転職で年収を上げるには「自分の市場価値(適正年収)」を知ることが大切です。
例えば、現在の年収が500万で自分の適正年収が400万だった場合、転職しても年収が下がる可能性があります。しかし、現在の年収が500万で自分の適正年収が700万だった場合、転職すれば大幅に年収が上がる可能性があります。
そのためには自分の市場価値を把握し、適正年収を知ることが重要です。
そして、この市場価値を上げる方法の一つが資格です。
職務経歴書の資格欄に「応用情報技術者」「情報処理安全確保支援士」「ネットワークスペシャリスト」「プロジェクトマネージャ」などの国家資格や有名なベンダー資格が書かれていたら、転職時や新しい案件に携わるときの面接時に、面接官は専門知識を持っている人材と判断してくれます。
資格は仕事に役立てるために取得するというより、自分の市場価値を上げるため、職務経歴書を充実させるために取得するものだと僕は考えています。
資格取得が必要な理由3:知識の幅が広がり自信につながる
IT業界はモノ作りの業界です。いろいろな案件を経験し、いろいろな現場で仕事をすることが多く、現場が変われば、一緒に働く人も変わります。
またITの進歩は早く、次から次へと新しい技術が登場します。
例えば、私たちの生活に欠かせないものになっている「スマートフォン」、今では当たり前に使っているスマートフォンですが、2010年頃の普及率は4%程度です。そして、2015年に50%、2019年に80%、2022年に94%とあっという間に普及しました。
スマートフォンの普及に伴い、AndroidやiOS向けのアプリが増え、さらにAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)という言葉が登場し家電・医療・農業・交通機関・自動車など私たちの生活にITは欠かせないものになりました。
そして5Gが登場し動画配信が当たり前の時代になり、コロナの影響もあり在宅ワーク(テレワーク)の働き方も増えてきました。さらにクラウドの進歩により、さまざまなサービスが次から次へと登場しています。
今後、量子コンピュータが実用化され始めたら、私たちの生活に大きな変化が起きるのは間違いありません。
このようにITの進歩は早く、次から次へと新しい技術、新しい専門用語が登場します。
国家資格の情報処理試験(特に基本情報技術者や応用情報技術者)はIT知識を浅く広く学ぶことができます。
単語をまったく知らないのと、聞いたことがある(深くはわからないが、どんなものがなんとなくわかる)では大きな違いです。
仕事の会議で「今回の案件はマイグレーションです」とか「この作業はクリティカルパスだから遅れないように」なんて言われた時、ITの基礎知識がないと「?」になってしまい、言葉に詰まってしまう、そんな経験をしたことがある人は多いと思います。
それくらいIT業界は専門用語が多いのです。専門用語なんて使わないで新人にも分かるように話してほしいと思いますが、現場では当たり前のように専門用語が使われています。
IT知識の高い人であれば、資格を取る必要はないと思います。ただIT知識が低いのを自覚しているのであれば、資格は取得するべきです。(資格を取得しなくても、勉強して知識を上げるべきです。)資格は勉強しないと取得できません。
資格を取得するために勉強すれば、知識の幅が広がります。知識の幅が広がると、仕事で選択の幅が広がります。
例えば、プログラミングで「オーバーライド」「オーバーロード」「継承」「インターフェース」の使い方を理解しているプログラマと、全く知らないプログラマでは、良いソースコードを書くための選択肢の数が違います。(いろいろな手法を知っているプログラマはその中で最善な手法を選択できますが、何もしらないプログラマはただ書くことしかできません。)
知識の量が増えると選択肢が増えます。
選択肢が増えると最善の手法を選ぶことができます。
そして仕事の成果につながり、自然と自信につながります。
終わりに
本記事では資格の必要性について紹介しました。
僕が「応用情報技術者」の資格を取得しようと思ったキッカケは転職活動です。
転職活動していたとき、たまたま僕が応募した会社が、ある役職になるには「応用情報技術者」の資格が必要だったのです。資格を持ってなくてもその役職で採用してくれるとのことでしたが、採用後2年以内に「応用情報技術者」の資格を取得しないと降格になるとのことでした。
結局その会社には転職しなかったのですが、IT業界にいるのであれば「応用情報技術者」くらいは持っておいた方がよいと考え、資格を取得しました。
ただ「応用情報技術者」は勉強しないと合格は難しいです。僕も結構勉強しました。
資格を取得しても意味ないと考え、資格を持ってない人は僕の会社にもたくさんいます。
ただ資格を取得して、それを意味あるものにするか・しかいかは本人次第です。
何のために資格を取得するのか、それをしっかり考え行動するべきです。
僕は自分の市場価値を上げる(職務経歴書を充実させる)ために資格を取得しました。