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【現役エンジニアが語る】IT業界の中小企業で働くメリット・デメリット

2022年12月14日

僕はプログラマやシステムエンジニアとして約20年間仕事をしています。

始めは大手企業に入社、入社した企業では希望通りの仕事ができなかったので、希望通りの仕事をやらせてくれた中小企業に転職。その後、30代中盤に大手企業への転職も検討していましたが、転職はせず現在も中小企業で仕事をしています。

僕が勤めている会社は200人程度の中小企業です。そんな中小企業で約20年働いて感じた中小企業の良いところ(メリット)・悪いところ(デメリット)を記事にしています。

【IT業界】中小企業で働くメリット

プログラミングを習得できる(技術力を磨ける)

プログラミング言語

IT業界はピラミッド構造です。

IT業界のピラミッド構造

IT技術を利用してモノ作りをするとき、依頼主の企業はITの有名企業や大手企業にその作業を依頼します。(中小企業に直接依頼する場合もありますが、その場合は昔からの付き合いがある会社や、中小企業でも有名な会社だったりします。)

システム開発の仕事を受注した有名企業や大手企業が自社の技術者で開発することもありますが、大抵は中小企業の技術者に作業を委託します。IT業界はピラミッド構造になっていて、大きい会社が小さい会社に作業を委託する(大きい会社が小さい会社の技術者を雇う)のはよくある流れです。

有名企業や大手企業でも若手時代は知識をつけるためにプログラミングを学びますが(まったくやらない企業もある)、その後はプログラマではなくシステムエンジニアやマネージャー職(管理職)の経験値を身につけるために、プログラミングはやらなくなり、人やお金を管理する仕事が多くなっていきます。

しかし中小企業の場合は、課長職でも現場でプログラミングをすることは珍しくありません

まつ
まつ

実際、僕も40歳を過ぎ課長職時代、客先でプログラミングをやっていました。

有名企業や大手企業に比べると、中小企業はプログラミングの技術を学べる機会が多く、たくさんのシステム開発に携わることができます。

僕はこの20年間で主に次のようなシステム開発に携わってきました。

  • 旅行業の予約システム
  • クレジットカードのシステム開発
  • デジタルサイネージ
  • デリバリの配送経路最適化システム
  • 派遣会社の社員管理システム
  • テレビ局の放映バックアップシステム
  • 農業IoT
  • 大手ネットショッピングのシステム開発

他にもいろいろな案件に携わってきました。そのおかけで多くのプログラミング言語を習得できました。

転勤が少ない

転勤が少ない

僕が中小企業を選んだ理由の一つがこの「転勤が少ない」という理由です。

有名企業や大手企業は全国各地に営業所があることが多く、転勤の可能性があります。しかし中小企業の場合は、営業所があっても近場だったりするので、転勤の可能性は低いです。(ただ中小企業でも東京に本社があり、データセンターが北海道にあるみたいな企業もあるので注意してください。)

転勤は適材適所の人材配置をすることで会社組織を活性化できるので、会社にとっては都合の良いものかもしれません。また新しい土地に行き新しい人と出会うことで、社会人としての能力がアップするのかもしれません。

ただ僕は転勤したくない派です。仕事は家族と楽しい時間を過ごすために必要なお金を稼ぐ手段だと考えているからです。

地方に営業所がない中小企業で働いていれば、一時的な出張はあっても有名企業や大手企業に比べると転勤は少ないです。

まつ
まつ

僕が働いている中小企業は、地方に営業所がないため、転勤した人は1人もいません。

社長や部長との距離が近く意見が通りやすい

飲み会

中小企業は有名企業や大手企業に比べると社長や部長との距離が近いのが特徴です。

僕は中小企業のエンジニアとして仕事をしており、案件にもよりますがほとんど客先に常駐して仕事をしています。有名企業や大手企業に常駐して仕事をしているため、有名企業や大手企業の社員さんの働き方はよく見ていますし、飲み会などにも参加しています。

有名企業や大手企業のような規模の大きい会社になると一般社員が社長と関わる機会はありません。部長との距離もかなり遠い存在に感じます。

中小企業も一般社員が社長と関わる機会はほとんどありませんが、社員数が少ないため部や課の忘年会や新人歓迎会などの飲み会に社長が参加してたります。

僕は20代半ばの頃、客先ではなく本社で仕事をしていたため、先輩に誘われ仕事終わりによく飲み会に参加していました。その席には社長や部長が参加していることも珍しくなく、20代の頃から社長に名前を覚えてもらっており、今でもたまに本社に帰社すると社長が「おつかれ」と挨拶してくれます。

まつ
まつ

自分が働いている会社の社長と距離が近いのは中小企業の魅力だと思います。

出世しやすい

出世

中小企業は有名企業や大手企業に比べると出世しやすいのが特徴です。

その理由は「優秀なライバルが少ない」からです。

有名企業や大手企業の場合、優秀な社員が多くライバルがたくさんいます。

例えば、新人を100人採用する大企業と、新人を5人採用する中小企業がある場合、同期の中で評価を得るのは中小企業の方が圧倒的に簡単です。

中小企業は人数が少ないので評価を高めれば

「今年は○○君が優秀みたいだぞ」

とすぐ噂は広がります。逆に評価が低いと「○○君は仕事ができない」と悪い噂が広がるので要注意です。

また中小企業の場合、役職の席が少ないので、評価されていてもなかなか出世できない(出世させたくても席が空いていない)という現象になることもあるので要注意です。

【IT業界】中小企業で働くデメリット

大企業に比べると給料が少ない

給料が少ない

社員の給料は、会社に売上がないと支払うことはできません。中小企業より有名企業や大手企業の方が売上は高く、その分多くの社員に給料を支払うことができます。

令和3年の厚生労働省による調査(令和3年賃金構造基本統計調査)によると大企業は約33万、中企業は約29万、小企業は約27万になっており、毎月の給料は会社の規模が大きい方が多くもらえる傾向があります。また賞与が加わるので、大企業と中小企業の給料の差はさらに大きくなるでしょう。

20代前半の頃は、そこまで給料に差はありません。しかし年齢が上がり役職が上がってくると、その差は大きくなっていきます。

IT業界の中小企業でも、売上を伸ばし給料の高い会社は存在しますが、ほとんどの中小企業は課長や部長で年収1,000万を超えることはありません。現に僕が所属している中小企業は部長でも年収1,000万を超えていません。

しかし有名企業や大手企業になると部長になれば年収1,000万を超えることが多く、企業によっては課長でも年収1,000万を超える企業が存在します。

IT業界で年収1,000万円以上を目指しているのであれば、中小企業に留まらず、給料の高い有名企業や大手企業、ベンチャー企業への転職を検討した方がよいのは間違いありません。

教育・研修制度が整っていない

研修

有名企業や大手企業は研修制度が整っている企業が多く、研修制度だけではなく福利厚生も充実しています。

僕が常駐していた有名企業は、ビル全体が有名企業の建物で、その建物の中に「スポーツジム」が入っていました。お昼休憩や仕事終わりにトレーニングできるのは魅力的です。

その他にも有名企業や大手企業によくあるのが「社員食堂」です。都内にある有名企業の社員食堂は格安価格で料理を提供しており、普段節約のためお弁当を持参していた僕ですら、そこの会社に常駐していたときは社員食堂で食事していました。カフェなんかも入っていて、リラックスできる環境が整っています。

まつ
まつ

かけそばが190円、カレーライスが250円で提供されており、500円あれば満足した食事ができます。

中小企業は人数が少ないため、ビルの一室を借りていることが多く、社員食堂のような施設はありません。

研修制度が整っていない企業が多く、中小企業の課題なのではないかと考えています。有名企業や大手企業に比べ若手教育に利用できる予算が少ないため、入社後ちょっとした研修を行い、すぐ現場で働くという流れになっている中小企業も多いのではないでしょうか。

ただ僕は研修を受けるより、現場で働いた方が早く成長できると思っているので、中小企業の研修制度が整っていないというのはデメリットかもしれませんが、早く現場で仕事ができるというメリットにもなっている気がしています。

マネジメント力が身につきにくい

マネジメント力

マネジメント力とは一言でいうと「管理能力」のことです。

企業や部署などの組織、プロジェクトなどを管理する能力で、ただ管理するだけではなく、うまく運営することによって目的や成果を達成する能力がマネジメント力です。

社会人には必要となるスキルの一つですが、プロジェクトを管理する立場、「課」や「部署」を管理する管理職であれば高いマネジメント力が求められます。

有名企業や大手企業で働いていると、プロジェクトを管理したり、人を管理したり、お金を管理したりと、マネジメント力を身につける機会がたくさんあります。

しかし中小企業の場合、課長職でも現場でプログラミングをしていることがあります。特に自社製品がなく自社で請負案件を持っていない企業になると、ほとんどが客先に常駐する働き方で、設計や製造・試験を行うのがメイン作業となり、プロジェクト管理・人の管理・お金の管理といったマネジメント力を身につける機会がありません。

僕も中小企業で約20年近く働いていますが、ほとんどが客先での仕事(要件定義・設計・製造・試験、部下管理)でマネジメント力を身につけるような仕事はしていませんでした。

終わりに

プログラマやシステムエンジニアとして約20年間、中小企業で働いていた僕が感じる中小企業の良いところ、悪いところについて紹介しました。

有名企業を選ぶのか、大手企業を選ぶのか、中小企業を選ぶのか、どの企業で働くのが良いのかは、何を望むかだと僕は考えています。

僕は"自由"を望んでいるため、自分の意見が通りやすい、自分の意見に耳を傾けてくれる上司がいる中小企業を選び、今もその中小企業に在籍しています。

ただ中小企業の場合、給料が低いというデメリットがあるため、30代半ばの頃は転職を考えていましたが、転職して年収を上げるという選択ではなく、副業して年収を上げるという選択を選んだため、転職はせず中小企業で今も働いています。

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